「自費出版」こそがコロナ渦での打開策になる?!

今日、書籍業界では、出版社の大規模な買収により、将来的にコンテンツの多様性が失われることを懸念する声が多く聞かれます。ペンギン・ランダムハウス社は、今秋にサイモン&シュスター社を買収することを発表しました。

イギリスの競争市場当局(Competition and Markets Authority)は、この買収によって「イギリス内の商品またはサービスに関する市場の競争が大幅に減少する」かどうかについての調査を開始。カナダの独立系出版社も同様の評価を求めています。

一方、Coteau Books社は昨年の冬、破産を申請し、営業をやめることを発表しています。

新型コロナウイルスの感染拡大が始まる以前から、出版業界では「変化」が起きていました。少数のカルト的な作家が市場を独占しているため、新人作家が書籍を出版して生計を立てるのは不可能だと訴える作家もいました。BIPOCやLGBTの作家や、既成のジャンルの限界に挑戦する出版物は、従来の出版契約では過小評価されてきたのです。

大手の出版社に取り上げられる前に、ファン・フィクション(Fan Fication)として自費出版された『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』の驚異的な成功は、以前は多くの読者を得ることができないと考えられていたジャンルの作品に関する議論に火をつけた、という点でまさに画期的な出来事でした。それはまた、一般的な独立系出版のあり方についての議論も巻き起こしたのです。

出版市場の「変化」に直面して、一部の著者は、従来の出版社の力に縛られない創造的な書籍を作るなどの、読者に作品を届けるための新たな方法を試みるように迫られています。

昨今のパンデミックによる自粛期間のせいか、読書により多くの時間を費やしている人も多いです。BookNet Canadaは、748件のオンライン回答に基づいて、カナダの読者の58%が、パンデミック期間中、普段より多くの本を読んでいる、と主張していることを明らかにしました。

では、明らかな読書量の増加によって得をするのは、一体誰なのでしょうか?アマゾン社のCEOであるジェフ・ベゾスの純資産は、2020年には2000億ドル以上に増加しています。一方、カナダで最も有名な書店であるインディゴは、国内の20店舗を閉鎖すると6月に発表しました。

新型コロナの流行が始まった当初、カナダでの書籍の売り上げは20~40%減少していました。BookNetの調査チームは、国内の51社の出版社を調査したところ、小売店舗の突然の閉鎖により、2019年の販売データと比較して、2020年上半期の販売数が300万部減少したと報告。

大型店舗やインターネットショップ、海外の多国籍企業は、国内での才能ある作家を見逃しがちになるため、これは地元の市場にとっての懸念事項となっています。そんな中、小規模な出版社は、地元の作家を支援したり、執筆や読書のコミュニティを発展させたりしています。彼らの取り組みがなければ、無名の作家は世界的な競争の中から抜きん出ることができずに苦労することでしょう。

しかし、一部の地元の小さな書店は、地元で買い物をする顧客が着実に増えているという事実に、一筋の光を見出しています。パンデミックによる都市封鎖や図書館の開館制限があったため、地元の書店で本を探している読者も多いようです。とはいえ、このような地元企業のプロモーションの急増が続くかどうかはまだわからないですね。